本が好きで、作家になれたらいいなあ~とか思っている藍生(あをい)が、読んだ本についてや自作の小説について、だらだらと書き綴る日記です。 好きな本の趣味の合う方は、寄って行ってください!
 
 
 
 
 
 
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アクマのタンテイ、アクマなタンテイ 第2章-1
 
 
【2006/08/20 21:35】
 
 
 祭木春(まつりぎ・はる)は、日課の図書館通いのために自転車を走らせていた。中央図書館には自習室が独立して設けられている。ただっ広いホールのような半地下のスペースに、整然と長机と机ひとつに対して6つの椅子が並べられている。定期試験の前になると、その時期だけ勤勉になる近隣の学生で賑わい、下手をすると入るのに数十分待たされることもある。
 しかし、今は中間試験が昨日で終わり、後は夏休みを待つばかりという、開放感に満ちた時期である。自習室はガラガラで、いつも以上に広く感じられた。
―浮かれてなんて、いられないのよ。
 春は静かに筆記具や教科書などを机に整然と並べながら思った。
―大学受験なんて、あっという間にやってきてしまうんだから。今遊んでいたら、後々必ず後悔するわ。
 春は現在、宮戸高校の1年生だ。つまり、高校生になってまだ半年も経っていない。高校受験の時もそうだった。春は中学に入ると同時に、高校受験の勉強を始めた。そして、3年間の受験勉強の末、高校にトップの成績で合格した。それはもう、群を抜いていたという。そして今、春は定期試験の為ではなく、3年後の大学受験に向けて、日々勉学に勤しんでいるのだ。
 丸い大きな目に厚い唇、春の顔はその内面とは裏腹に、派手な部類に配されるといえる。化粧などは全くしていないのに、際立った顔立ちをしている。ゆえに、誤解を受けることも多々あった。別に、真面目な人間に見られたいわけではないし、他人が自分をどう評価しようと、それによって彼女自身が何か変わるわけでもない。けれど、あまりにも見当違いな目で見られると、どうしても苛立ちを覚えてしまう。

 ふう、とひとつ溜息を吐いてから、春は数学の問題集を開いた。今日でこの問題集の第3章までを終わらせる。そう決めてペンを持つと心が落ち着き、集中力が増してきた。

 気が付くと、もう9時を過ぎていた。自習室は10時まで開いているが、あまり遅くなってもいけないので、春はテキパキと帰り支度を整えた。今日の課題はまだ少し残っている。続きは家でやろう。

 帰り道、駅前の通りにさしかかった。
―そういえば、あの事件があったのって、この辺りのはずよね。

 昨日、春の通う高校の生徒が殺された。2年生の女子生徒で、春は面識はなかったが、それでもこの事件は他の生徒たちにとってと同じように春にとっても特別なものに感じられた。そもそも地元で殺人事件が起こること自体、非日常的なことだ。それが、被害者が自分と同じ学校に通っているとなれば、それはもうニュースの中だけで終わる話ではなくなってくる。今日一日、学校では教師も生徒もどこかに現実を置き忘れてしまったかのようだった。だからこそ、春はいつも以上にいつも通りに、放課後図書館へ行ったのだ。
 犯人はまだ捕まっていない。どころか、事件自体謎が多いという。そういう情報は、特に興味を持って聞こうとしなくても、今日一日学校にいれば自然と耳に入ってきた。被害者となった、篠原彩夏という生徒を狙ったものなのか、それとも場当たり的な通り魔的犯行なのか、それも全く分かっていない。もし、彼女がたまたま運悪く犯人に目をつけられただけなら、その犯人は次の標的を、今この瞬間見定めているのかもしれない。

 そしてその標的は、春かもしれない。
 その標的が春でないとは、言い切れない。

 そんなことを考えているうち、春は薄く恐怖した。軽く頭を振ってそれを追いやり、夜食の買出しの為にコンビニの前に自転車を止めた。
 そのときふと、小学生らしい二人連れが春の目に入った。その少年と少女は、コンビニの前で、そのコンビニで買ってきたらしいおにぎりを食べている。塾帰りかなにかなのだろう。小学生が塾に通うことは、今や特別なことではない。むしろ、当然のことだと思われている。けれど、春はその考えには否定的だった。それは、まだ小学生のうちから遅くまで勉強に追われる子供がかわいそうだ、とか、そういったことではない。
 わざわざ塾なんかに通わなくても、勉強はできるだろう。
 そう思うからだ。実際、春はこれまで塾というものに通ったことがない。今後も、頼ろうとは思わない。学校の勉強で足りないというのなら、図書館や本屋に行けばいくらでも教材はある。それで自分でやればいい。そうできない、やらされなければできないというのなら、はじめからやらない方がいいのだ。勉強なんて、やる気がなければまるで意味がないものなのだから。塾なんて、ただ勉強をした気になるために金を払って行くようなものだ。それは、ただの自己満足―いや、親の見栄だ。
 買い物を済ませて店を出るとき、ちょうど食事を終えてゴミを捨てようと立ち上がった、先ほどの少年とぶつかりかけた。
「あ、ごめんなさい」
 少年は顔を上げて、春に謝った。ちゃんと躾がなっているようだ。小さなことだが、春は少し嬉しかった。少年は春に対してペコリと頭を下げて、少女とふたり去って行った。彼らを何気なく見送っていた春の視線の先に、見覚えのある少女が飛び込んできた。
「御堂先輩!」
 春は嬉々としてその少女、御堂朱梨の元へと駆け寄っていった。
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テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

 
 
 
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この記事に対するコメント
 
 

ふむふむ・・・・・・・。
まだ序章なので、新たな人物登場ですね。

やっと既出の登場人物が出たところで”続く”って・・・・。

センセーーーー!!じらさないで下さいよ~ww。
【2006/08/22 01:19】 URL | たけだしんいち #9JNxmLfc [ 編集]


いつも読んでもらってありがとうごさいます♪
予定では結構長くなるんですよ~、この話!まだまだ新しいキャラは出てきます♪今まで出てきたキャラを忘れられないうちに、続きを公開したいと思います~☆また読んでくださいe-420
【2006/08/22 21:29】 URL | 藍生 #- [ 編集]

ヤーコンで健康ライフ
ヤーコンの検索サイト。栽培方法、料理、育て方、食べ方、効能などヤーコンに関する各種情報をお届けしています。 http://karat.santamonicatravelodge.com/
【2008/11/15 18:36】 URL | アヲイ #- [ 編集]

 
 
 
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