本が好きで、作家になれたらいいなあ~とか思っている藍生(あをい)が、読んだ本についてや自作の小説について、だらだらと書き綴る日記です。 好きな本の趣味の合う方は、寄って行ってください!
 
 
 
 
 
 
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アクマのタンテイ、アクマなタンテイ-3
 
 
【2006/07/16 21:23】
 
 
 被害者の名前は篠原彩夏(しのはら・さいか)、17歳。僕と同じ、県立宮戸高校に通っている。テレビ画面に映った写真では、茶色がかったショートカットで、まんまるの目、年相応なかわいい少女の顔だった。
 あの大きな目はくりくりとよく動いていた。笑うと少し子供っぽいえくぼができる。明るくて元気な子だった。そうそう、顔にできたニキビをとても気にしていた。
 何故僕がそれほど被害者について詳しいのかといえば、彼女は僕のクラスメイトであり、また、つい最近まで付き合っていた元カノだから、なのだ。

 そんな彼女が死んだ。しかも、殺されたという。

 そしてその事実を知った瞬間から、僕の日常というものはすっかりなくなってしまったのだった。

 その日登校すると、やはり校内は彩夏の事件のことでもちきりだった。
 それはそうだろう。同じ学校に通う生徒が殺されたのだ。しかもそれはどうやらただの殺され方ではなかったらしい。
 僕が見た朝のニュースでは、あまり詳しいことは言っていなかったのだが(もしかすると、ショックのあまり聞き逃しただけかもしれないが)、彩夏はかなりひどい殺され方をしたらしい。
 腹といわず胸といわずめった刺しにされ、顔は特に集中的にめちゃめちゃにされていた。目は抉られ、舌は切り取られていた。そう、まるで何かの儀式のように・・。
 けれど、死因は刃物によって刺されたことによる失血死だとかではなく、何故か溺死だったという。
 刺された傷はどれも、ひとつひとつをとってみれば浅い傷ばかりで、ただべらぼうにその数が多いということを除けば、それだけで死に至るほどのものではなかったのだ。顔の損傷は、死後なされたものらしい。
 とはいえ、彩夏が発見されたのは、海でも川でも風呂場でもない、駅前の繁華街の薄暗い路地だった。どこか別の場所で殺されてから、運ばれてきたのだろうという見解が成り立つだろうが、しかし、その路地に至るまでの道は、どのルートをとっても常に人通りがあるのだ。地方都市とはいえ、ターミナル駅の周辺となれば、真夜中でもそこそこ賑わっている。キャバクラやホストクラブだって夜通し営業しているし、そんなところに死体を持ち込むなんて、誰かに目撃される危険があまりにも高いのではないだろうか?そんな危険を冒してまでそうする理由があったのだろうか?
 僕は持ち前の好奇心というやっかいな性質のおかげで、元彼女の死という本来ならいたく悲しむべき事態に、不謹慎にも興味をそそられ、あまつさえ拙い推理を展開させようとしてしまっていた。少し反省。

「この度、我が報道部では、今回の篠原さんの事件を独自に追うことにしようと思うが、みんな、どうだろうか」
 報道部長の巻内(まきうち)が言った。
「けど、殺人事件だぞ。しかも、うちの高校の生徒だ。興味本位で首を突っ込むのはどうかと思うけど」
 3年生の豹堂(ひょうどう)が言った。
「うちの高校の生徒の事件だからこそ、やるんじゃないか。警察だとか、外の人間には拾いきれない情報でも、俺たちなら拾えるかもしれないだろう。何か事件解決の役に立ちそうな情報が手に入れば、もちろんそれは警察に提出する。少しでも早く犯人が捕まれば、殺された篠原さんの弔いにもなるんじゃないか」
「そうは言っても、危険はないのか?」
「今回の事件が、我が校を対象とした無差別殺人だ、なんていう荒唐無稽なことを言い始めるなら、それは危険だろう。しかし、そんなことは普通、考えられない。もちろん、部長として部員の身に危険が及びそうな状況を察知すれば、直ちに調査は打ち切るつもりだ」
 僕は敢えて口を挟まずに、彼らの議論を聞いていた。きれいごとだけが流れていく。みんな、本音ではこの事件を調べたくって仕方がないのだ。こんなチャンスはめったに無い、そう思っている。そんなやつらだからこそ、報道部なんかに属しているのだから。本当なら、議論なんて必要ない。全員一致で賛成となるだろう。形式だけの話し合い。結論は見えている。それでもみんな、手順はきっちり踏まないといけないとでも思っているのだろうか。
―下らない。
 僕は顔には出さず、心の中でだけ毒づいた。
「亮輔はどうなんだ?」
「ほ?」
 急に振るな。思わず間抜けな反応をしてしまったじゃないか。
「だってお前・・」と、部長は少し間を置いて、「付き合ってたんだろ?篠原さんと」
 ・・おいおい、ここでそれをバラすか?フツウ。
「そうなのか?」
「マジで?!」
 ほらほら、みんな僕に注目しちゃってるじゃないか。
「あー、まあ、そうだけど。でも別れたし。」
 僕は苦笑いでこの場を切り抜けようとしたが、連中は僕の言うことなんて聞いちゃあいなかった。注目されるのは嫌いではないが、今回ばかりはあまり歓迎しない。
「そっか、じゃあなお更事件を俺たちの手で解決してやらないとな」
 なんでそうなる?
「そうだな。亮輔だって、警察なんかに任せちゃいられないだろう。自分で調べたいよな」
 うーん、まあ、調べたいっちゃあ、調べたいと思うけど・・、動機でいうなら、ちょっと違うような・・。
「よし!亮輔の為にも、この事件は我が報道部の総力を決して、取り組むことにしよう!」
 ・・なんで僕の為?
「決まりだ!いいな、みんな!」
「おお!」
 って、決まっちゃったし。
 思ったとおり、本当はみんな事件のことを調べたくて仕方なかったということか。その点に関しては、本心を言えば僕自身みんなと同じなので、ここであえて反論する必要はないかもしれない。
 報道部なんて部に属している連中は、等しく好奇心の塊なのだから。

「ふうん、そう」
 僕ら報道部が事件について調べることになった、と言うと、朱梨はそっけなく言った。
「・・あれ?それだけか?」
 何らかの反論を受けると思っていた僕は、朱梨のその反応に少し拍子抜けしてしまった。
「そうね。あえて付け加えるなら」朱梨は僕を見て、口元だけで笑った。「私もその調査、手伝ってあげる」
「はあ?なんでだよ?いらないよ、別に手伝いなんか。てか、お前今までこういうのに興味持ったことなんかないだろう」
 そう。好奇心の塊のような僕とは正反対に、朱梨は他人に対して興味なんて、一切持っていない性質だった。自己中心的、というのとは少し違うが、究極の個人主義とでも言えばいいだろうか。人は人、自分は自分、という姿勢が徹底しているのだ。
 朱梨なら、たとえ自分にかかわりのある人間が死んでしまっても、あるいは僕が殺されても、恐らく意に介さないのだろう。
 それ程までに、無関心。
 それ程までに、孤独なのだ。
 そんな彼女が、篠原彩夏の死に興味を示している。これはもう、とんでもなく特異なことだ。大体、朱梨と彩夏の間に、それ程の関係性があるとは言えないはずだ。多少の面識がある程度で、友達でもなんでもない。
―だからこそ、なのか。
 朱梨は悪戯っぽく笑って言った。
「さあ、始めましょうか」
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この記事に対するコメント
 
 

意外な方向に話が展開していますねえ。
連載1回目の監禁とどう関わってくるのか。
朱梨の不思議な能力との関係は・・・・。
非常に気になります。
【2006/07/17 00:28】 URL | たけだしんいち #9JNxmLfc [ 編集]


毎回読んでもらって、ホンマ、ありがとうございます!
まだしばらく、遠回りする予定です☆1回目のはプロローグというヤツなので、そこに繋がるにはもうちょっとかかります☆・・せめてそこに繋がるまでは、ちゃんと書ききらないと・・e-330
【2006/07/17 00:57】 URL | 藍生 #- [ 編集]


朱梨、めっちゃ可愛い顔を想像してますv-238
つーかみんな名前が可愛いなー
【2006/07/18 18:26】 URL | プチロンドナー #- [ 編集]


私がイメージしてるより可愛かったりして(笑)
名前考えるの好きやねん♪まだまだキャラクター出てくるから、どんな名前が出てくるか楽しみにしてて~e-420
【2006/07/19 13:02】 URL | 藍生 #- [ 編集]


うわ~、めっちゃ続きが気になる!!藍生ちゃん文章ほんまに上手やな~d(´∀`o)私も昔は小説書いてみたりしたけど、全然こんな風に書けなかったもん(T_T)

てか、もちろん最終回まで書いてくれるんやんな~?まさか途中で力尽きたりしないよな~??
(ちょっと脅してみた☆)
【2006/07/23 02:13】 URL | よしぱん #- [ 編集]


わ~い、ありがとう♪実は結構好きな作家さんの文章パクっちゃってるねんけど(汗)
うわ、脅された・・(笑)
さ、最終回か・・、いつになるかな・・e-330がんばるから、気長に読んでくれっ!e-466
【2006/07/23 19:04】 URL | 藍生 #- [ 編集]

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【2008/11/28 22:22】 URL | アヲイ #- [ 編集]

 
 
 
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