本が好きで、作家になれたらいいなあ~とか思っている藍生(あをい)が、読んだ本についてや自作の小説について、だらだらと書き綴る日記です。 好きな本の趣味の合う方は、寄って行ってください!
 
 
 
 
 
 
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アクマのタンテイ、アクマなタンテイ-1
 
 
【2006/06/04 20:37】
 
 
 どうして、僕がこんな目に遭わなくっちゃいけないんだ。
 僕はいたって普通の、平凡な高校生で、その平凡っぷりたるや、遠い未来、21世紀初頭の日本の高校生はこんなんでした、って教科書に載っちゃうかもしれないくらいなのだ。酒も飲まないし、煙草も吸わない。カンニングだってしたことない。・・そりゃあまあ、多少の軽犯罪は犯してきたかも・・しれない。例えば車の通りのほとんどない道路で信号無視をしただとか、例えばちょっと気分が乗らなくて学校をサボった、とか。けれど、そんな些細な罪の報いが、今のこの状況を生み出しているのだと言われれば、とてもではないが、納得できるものではない。
 
 今の僕は、両手両足を椅子にくくりつけられるという状態で固定され、どこかの地下室らしいところ(連れ込まれたときの記憶がないので断言はできないが、窓がひとつもなく、かつこのじめっとした空気、部屋の狭さから判断するに、恐らく間違いないだろうと思う)に監禁されている。そして、そんな僕と状況を同じくする人間がもう一人。
 御堂朱梨(みどう・あかり)
 僕と同い年の、いわゆる幼馴染みの少女だ。彼女も僕の向かいの椅子にくくりつけられ、ぐったりとうなだれている。何度か「大丈夫か」とか声をかけてみたが、反応は薄い。普段の朱梨はとても気丈で、明るく、煩いくらいに元気がよくて、自身に満ち溢れていて、そして気が強い。それがそんな具合なので、僕は少なからず心配していた。もちろん、他人の心配をする余裕なんて、今の僕にはないのだが、そうは言っても、自分の心配をしようが他人の心配をしようが、この状況が好転するとは思えず、なら、どっちでもいいということだろう。
 ここに連れ込まれて、どれだけの時間が経っているのだろう?確か、何者かに殴られて、気を失ったのが夕方の4時とか5時とかだったはず。けれど、どれだけの間失神していたのか分からないし、窓のないこの部屋からでは、外の状況から時刻を判断する術はない。空腹感でいえば、もうずっと前から限界を超えている。どれだけ危機的状況にあったところで、腹は減るのだ、という、分かったところでどうでもいいようなことを考えてしまった。
さて。どうやって逃げようか。
 僕らをここに監禁した犯人は、どうやらすぐにどうこうするつもりはないらしい。それとも、今はただできないだけで、犯人としてはできるだけ早く、僕らを消してしまいたいと思っているのかもしれない。
 どっちにしろ、僕らに残された猶予がどれだけなのか、分からない。しかし、逃げるなら今しかないだろうということもまた確かなことなのだ。
 第三者の助けが来ることは、まずないと考えていい。
 例えばうちの親なり、朱梨の家族なりが、帰ってこない子供を心配して、警察に駆け込んだとして(うちの親がそういう行動に出ることは、正直言ってあまりないといえるので、ここは朱梨の両親に頼ることになるのだが)、警察がここを突き止める可能性は、限りなくゼロだろう。万が一、辿り着くことができたとして、それは何ヶ月も先のことだろうし、それでは確実に、僕らはもう殺されているか、飢え死にしているかのどちらかだ。
 ここはやはり、自力でなんとかするしかない。
 今、僕の両手は椅子の背の後ろに回され、繋がれている。金属の感触からして、恐らく手錠か何かだろう。両足は、それぞれ椅子の足に縄でぐるぐる巻きに縛り付けられている。身動きは、ほとんど取れないといっていい。動くなら椅子ごと、ということになるが、どうにもそれも具合が悪い。両足が椅子の前足で固定されているので、動こうにもどうにもバランスが取れないのだ。この状態で、おそらく鍵のかかっているであろう扉を破り、朱梨を連れて逃げ出すということが、果たして可能だろうか?
 先ほどから何度も何度もこの問題を考え、堂々巡りに陥っている。いくら考えたところで、うまい手段が浮かばない。僕はこんなにも頭が悪かったのか、と自己嫌悪に陥るほどだ。このまま放置され、飢え死にするのを待つか、あるいは犯人が止めを刺しに来るのを待つか、どちらにしても、ただなす術もなく死を待つしか方法はないのだろうか?

 ガタン

 今まで全くの静寂であった扉の向こうで、何か小さな物音がした。とっさに僕は、犯人が戻ってきたのだ、と思った。戻ってきてしまった。おそらく、僕らを解放するためなどではなく、止めを刺すために。ならば、何とか反撃して、犯人を返り討ちにするしかない。
そう決意し、僕は扉を睨み付けていたけれど、それから数十秒、扉が開いて犯人が入ってくる様子がない。何かの聞き間違いだったのか、と思い直した時、僕は異変を感じた。性格には、僕の嗅覚が。
 焦げ臭いのだ。
 更に次の瞬間、煙が部屋の中に侵入してきた。そう、犯人は火をつけたのだ。
 僕は、これまでうだうだと思考していたことが頭から一気に消え去り、たちまちパニックに陥った。やばい。もう一刻の猶予もない。それなのに、相変わらず脱出方法なんて浮かんでこない。
 どうしよう、どうしたらいい?このままじっと、死ぬのを待つしかないのか。朱梨とふたり・・。
 そうだ、このままでは、朱梨も死んでしまうのだ。そう思い、僕は朱梨を見やった。いくら普段強気だとはいえ、朱梨は女の子なのだ。男の僕ですら、こんなにどうしようもなくうろたえてしまっているのだ。さぞ、恐ろしい思いをしているだろう・・。
「朱梨・・」
 けれどそこには、先ほどまでぐったりとうなだれていた朱梨はいなかった。ゆっくりと顔を上げ、その顔にうっすらと笑みを浮かべているのだ。それは、17年間一緒にいて、初めて見る顔だった。僕の混乱は一層深まった。正直、朱梨のその表情が恐ろしかったのだ。
「ふふふ・・」
「・・ど、どうしたんだよ、朱梨。しっかりしてくれよ!」
 僕はてっきり、恐怖のあまりどこかおかしくなってしまったのだと思った。しかし、その時の彼女は、いたって正常・・いや、いうなれば、普段以上に常態だったのだ。
「ふふふ、愚かな。この私に火を与えるなんて。どこの誰だか知らないけど、馬鹿なことをしたものね」
 朱梨は誰に対してでもなく、もちろん僕に語りかけるでもなく、そんなことを呟いた。
「何言ってるんだ?おい、朱梨・・」
 僕が呼びかけると、朱梨はやっと僕の方を見て、にっこりと笑った。
「もう安心していいよ、リョースケ。運命は私の味方だ」
「はあ?」
 もう、朱梨が何を言っているのか、僕には彼女の言葉が伝わらない。不信感と不安感のたっぷりこもった目でみつめていると、いきなり僕のその目の前で、朱梨の手足の自由を奪っていた拘束具のうち、両足の縄から真っ赤な炎が上がった。一瞬、もう火の手が部屋の中にまで入ってきたのかと思ったが、しかし部屋の中は、着実に煙が充満し、スモークされつつあるものの、炎までは至っていない。火は、朱梨の体にだけ、生じているのだ。炎はみるみるうちに縄を焼き切り、木製の椅子を燃やしつくし、そして朱梨の身体を包んでいった。
 手錠がパン、と音をたてて弾けとんだ。
 僕はもう、訳が分からず、言葉もなくただ、真っ赤な炎の中で哄笑している幼馴染みだった少女を見つめていた。
「ふふふ・・あはは・・はーッはっはっは・・!!」
 そして、朱梨から出た炎が、部屋全体に至るまで、そう長い時間はかからなかった。

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テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

 
 
 
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この記事に対するコメント
 
 

ものごっつ気になるところで連載1回目終了っすか!!!
続き気になる~~~~~~~~!!!
期待しています。1読者として。
【2006/06/26 02:20】 URL | たけだしんいち #9JNxmLfc [ 編集]


うわっ、読んでくれている人がいた!(^^;
ありがとうございます。m(_ _)m
続きはどうなるのか、私も良く分かっていませんが(コラ)、暖かい目で見守ってやってください☆
【2006/06/27 18:21】 URL | 藍生 #- [ 編集]


申し遅れました。FSS88年度生のたけだです。ジョニーフィッシュのライブでお会いしましたよね。
宮部みゆきのクロスファイヤーが大好きな小説なので、なんかそんな雰囲気を感じて「おお~どうなるんだあ~~」ってごっつ気になってます。
期待してます!!。センセイ!
【2006/06/29 04:34】 URL | たけだしんいち #9JNxmLfc [ 編集]


大丈夫です、ちゃんと分かってますよ、たけだ先輩やって!
ク、クロスファイヤーですか・・。私も好きですが、あんなのは書けませんよう・・(汗)
でも、読んでもらえているというのはとても嬉しいです♪頑張りますので、あまり期待はしないで、気の向いたときに読んでやってください!
【2006/07/02 11:08】 URL | 藍生 #- [ 編集]

 
 
 
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